トワイライトエクスプレス廃止の発表
ここ数年以内に報道されるとは思っていましたが、ついにといった感じです。報道にあるように、車歴の問題を始め、北陸新幹線により北陸本線の第三セクター化、北海道新幹線、寝台列車の運行に伴う人員配置、いつでも廃止という大鉈を振るう準備は出来ていたと書かざるを得ません。
廃止や引退の報道を受けていつも書く定型文が、「時代の流れ」です。その抗えない流れは今回、寝台列車が手段から目的へと変わるその過渡期と捉えるべきなのかもしれません。昭和までの寝台列車は、まだまだ移動手段の一つでした。しかし、時代は平成に入り、新幹線、飛行機、夜行バスが全国に台頭を始め、移動手段の一つだった寝台列車は本当に、その選択肢の中の一つとなってしまいました。そして選択肢の中に入ってこなくなった最大の理由が、バブル景気後の不況でしょう。運行している側も乗る側もそのコストパフォーマンスに見合わなくなってきてしまいました。同時に、アコモデーションの陳腐化もその理由の一つかもしれません。そうしてブルートレインと呼ばれた移動手段としての寝台列車は、平成だけで四半世紀が経とうとしている中次々と廃止されていったのです。
もちろん、今回廃止の発表がなされたトワイライトエクスプレスに、予断を許さない北斗星この際、サンライズとカシオペアは置いておきます。は、移動手段の一つだった今までのブルートレインの形式と違い、その枕詞に「豪華」の二文字を入れる事ができる「手段」から一皮むけた旅行という「目的」となった寝台列車でもあります。目的としての寝台列車では生き残る道はあるだろう。そうです、JR九州の「ななつ星」を筆頭に、各社が各線内だけを走る寝台込のクルーズトレインについては発表がされています。間違いなく今後のトレンドになることでしょう。では何故、トワイライトエクスプレスは廃止され、「ななつ星」は誕生したのでしょう。それは始めに書いた理由が最も大きなものなのではないでしょうか。それは各社の路線を越えるところにあるのでしょう。
新幹線はその誕生から紆余曲折をへて、それを輸送の「手段」とは別に地域振興という別の「目的」を持つものになりました。国鉄が民営化したにも関わらず各社の損得だけでなく、政治的に公共事業としての目的で現在の新幹線の着工は始まります、それの煽りを食うのが並行在来線で、それを国はJRから分けて赤字を地域が埋める第三セクターという道をつくっています。今回、トワイライトエクスプレスが廃止になる理由としてJR西日本は車両の老朽化としていましたが、北陸本線の第三セクターと、その先にある北海道新幹線化後の展望が見通せないというのが要因の一つにあったと思えます。
ツアー型の豪華さだけを見たクルーズトレインが残るとするのならば、それはそれで寝台列車としての存続としては良いことなのかもしれません。しかし、切符を買って乗って、乗った先で自由に観光するという、移動手段として寝台列車を使うのは今後はますます、難しくなることでしょう。ツアーというパッケージの中の、「一つの目的」が寝台列車という位置づけになっていくことでしょう。
また、各社各線だけのクルーズトレイン、それは、ある意味観光がマクロに集約されることを意味します、ツアーに参加するのが日本人ならいいのでしょうが、外国人旅行者にとってはどうか、という疑問が残らないわけでもありません。JR九州の「ななつ星」は、外国人観光客も大きく視野に入れています。しかし現状では日本という大きな観光ではなく日本の一部を切り取った箱庭的な観光にとどまってしまうのではないでしょうか。日本全国がせっかく線路で結ばれているというのに、どこか勿体無い感じがします。トワイライトエクスプレスなら北海道でスキーを行って日本海を眺めてから大阪で観光してもらって、関空で帰ってもらうこともできます。
JR九州「ななつ星」は、クルーズトレインの走りとして今絶頂期を迎えていますが、JR西日本は果たして二匹目のドジョウを狙えるのかという問題も、他人事ながら気になります。「ななつ星」とJR九州のホスピタリティは、大したものだとは思いますが、それが各社一朝一夕で身につくものなのかは疑問です。
そこは、いっそ列車の保有は傘下の旅行会社に任せて、運行と保守だけを鉄道会社が行う「かぎろひ」の運行方式でもありだとは思います。餅は餅屋に任せた方がいいのではという事です。これは、完全な老婆心ですが。現在のオリエント急行もそうであるように、トワイライトエクスプレスや北斗星、現存のブルートレインを買い取って運行する、そんな豪気な旅行会社、出てこないものでしょうか。
長々と偉そうに今後の寝台列車の行く末まで書いて見ましたが、結局はそれは日本から昭和から今まで生きていた寝台列車、ブルートレインの最晩年の姿を寂しさを持って眺めているからに他なりません。
トワイライトエクスプレスは、来春廃止とのことですがもう廃止までプラチナチケット化決定でしょう。乗ろう、乗ろうとついぞ乗ることの無かった列車となりそうなのが個人的には残念至極です。以上。㍻26年5月28日








この記事へのコメント